一人十郷 - Takumi Nasuno Photography
育児
2019/06/23

【男性目線の育児#16】子育てする親が時間のなさでキャリアに焦燥感を抱く問題への対策を考察してみた

手縫いもいもいの図。なお本編とは関係ありません。

 

先日、SNSにて「家事育児に忙殺される中でビジネスパーソンとしての成長を維持するための労力が尋常ではない」旨を投稿をしたところ、思ったよりも反響があったうえに、その反響を読み解く中で問題の更なる言語化ができそうな気がしたので、1.実際のツイートを振り返ったうえで、2.ツイートを書いた深層心理を考察し、3.家事育児で賄えるものを考え、4.家事育児では賄えないものを考えたうえで、5.まとめを書く、という流れで思うところをざっと書いてみます。

 

1.まずは実際のツイートを振り返る

きっかけは2019年6月20日に投稿したこのツイートです。

 

ツリーなので、もれなく2つの投稿が続きます。

個人的には、いつもより少し多めにいいねをもらえたような気がしました。(そんなにバズるアカウントでもないので。

 

2.ツイートを書いた深層心理を考察する

実はこのツイートでは、この事案の背景にある自分の感情について、一般的な感情名称で以て表現せず、

  • 『外働きの仕事で新しいスキルや経験を獲得できないとビジネスパーソンとして停滞した気分になって即刻退職事由になる、という私の感覚』
  • 「自分のビジネスパーソンとしての成長度合いに疑念を持たなくて済む状況を維持する労力には、物凄いものを感じる」

といったような、この事案から引き起こされる自らの行動パターンを説明する形で表現をしていました。これは別に、何かカッコイイことを言いたかったから回りくどい表現をしたというよりも、この事案の裏にあるものが一般的な名称を与えられるべきほどに一般的であるかどうかに自信がなかったからではあります。

 

ただ、ツイートをした直後から何件かの返信や引用ツイート、さらにはDMにて反響をいただく中で、私が使っていなかった『焦り』や『焦燥感』といった言葉でこの事案を表現する人のなんと多いこと・・・

子育てしながら仕事する親全体(子育てしない親はもちろん除く)の中でみても多数派かどうかは知りませんし、きっと男女に限らず『ガッツリ働きたい(働いてきた)』人達が中心なのだろうな、という感はありますが、「こういった問題を抱く人達はそれなりにいる」ということが分かり、ここから想起される感情に『焦燥感』と名付ける人が多いというのは今でも意外に思う発見でした。というのも、『焦燥感』という言葉を聞いた後でも、私自身が抱いているのは『焦燥感』ではなかったことに気付いたからです。

というのも、自分自身のキャリアとしては、このまま何も対策をしなければツイートしたように「キャリアが落ち込む実感がある」わけですが、別に何も対策をせずに手をこまねくわけではないし、対策として今進めていること、これから進めようと考えていること、そして今はやる予定はないけれどいざとなったら進められると思っていること、それら選択肢が今の自分の手元には見えており、「たぶんどうにかなるだろう」という実感も同時に持ち合わせていたからです。

ただ・・・、同時に分かり切った話として、『子育て世帯にとっての日本というハードモードなこの世界で、誰しもがそんな実感を持ち合わせられるわけではないということ』を頭の中で直感的に思い描いていたからこそ、「同じような悩みを持つ親、ないし悩みを持つことさえ許されずに諦めている親がたくさんいるであろうこの日本社会の構造を憂いていた」というのが私の心の裏側にあったのだと思います。

(※なお、「たぶんどうにかなるだろう」と言えてしまう自分の感性は、選択肢が見えていること以上に、ある意味自分のキャリアですら客観視してしまえるドライさはあるのかもしれません。)

 

3.家事育児で賄えるものを考える

家事育児に大半の時間を費やす生活において、家事育児の経験をいかに自己研鑽に繋げるかを考えるのは基本中の基本です。

ここで言う自己研鑽とは、何も本を読んだり練習をしたりといった『ザ・自己研鑽』な行動である必要はなく、家事育児を含めた日々の生活も、考え方や取り組み方を変えることで自己研鑽に転換できるわけで、こういった『転換』を考えることで家事育児に時間を費やしながらも日常的に自己研鑽を積むことができるわけです。

 

重要なのはここからです。

「全ての自己研鑽を、家事育児を中心とした日々の生活で賄うことができるのだろうか」という問いに対して、今のところの私の答えはノーであり、「家事育児で賄える自己研鑽と、賄えない自己研鑽があるだろう」というのが今の私の考えなのです。

私自身の育休を振り返ると、家事育児に専念する中でプロジェクトマネジメントや戦略論を実践に落とし込み、生活導線の変更やシステム導入を繰り返し、PDCAサイクルを回していく経験が、復職した後での実務に活きている実感はあります。ブログでも、第1回のプロジェクト設計や、第2回の妻ワンオペ対策第4回の初回振り返りMTG第5回の支出チェック第6回の腱鞘炎対策第8回の睡眠不足対策第11回の育休振り返りなど、多くを言語化し、アウトプット能力を磨くことも意識しました。

私がこの経験から『育児で成長させられるビジネスパーソンスキル』だと感じたキーワードは、

  • プロジェクトマネジメント
  • 戦略思考
  • PDCAサイクル
  • 業務設計
  • システム導入
  • コミュニケーション
  • カウンセリング
  • 言語化

あたりでした。これはあくまで私が感じたもので、他にも多くあるとは思いますが、これらを眺めた時に共通する要素として『ジェネラリスト的能力』という分類があるのでは・・・と感じました。

ここで言う『ジェネラリスト的能力』というのは、業界や職種に限らず発揮しやすい能力と定義します。これに対するは『スペシャリスト的能力』で、特定の業界や職種では極めて有効に発揮できるが場所が変わると途端に役に立たなくなる能力と定義します。

 

ただ、この『ジェネラリスト的能力』と『スペシャリスト的能力』は、特定の業界や職種に多い/少ないと言い切れるものかどうかを言われると、そうでもない気がしたのです。というのも、『スペシャリスト的能力』に偏りがちな職業を印象論で直感的に挙げようと、エンジニア、プログラマー、弁護士、医師、会計士・・・などと書き並べていたところ、それら職業でも『ジェネラリスト的能力』を備えた人が大活躍するシーンが容易に想起されたからです。

どちらかというと、どんな職業でもある程度の『スペシャリスト的能力』は必要だけれども、『ジェネラリスト的能力』のニーズを取り巻く職場環境は大きく二分される気がしたのです。つまり、

  1. 『ジェネラリスト的能力』を期待される職位や、『ジェネラリスト的能力』を発揮すると職場改善が起きる企業文化や職場関係
  2. 『ジェネラリスト的能力』を期待されず、発揮しようとしても「余計なことをするな」と言われがちな企業文化や職場関係

といった分類があり、前者であれば『ジェネラリスト的能力』を家事育児を通じて成長させることでキャリアアップに繋げやすいが、後者であればいくら家事育児をしたところでキャリアの停滞どころかキャリアダウンに繋がりかねないという、ある種の職場依存性を見たのです。

(※ただし、2については、「余計なことをするな」と言われるのが企業文化ゆえなのか本人の能力不足ゆえなのかは個別判断が待たれるところです。というのも『ジェネラリスト的能力』は教科書的なキレイゴトを主張するのは簡単ですが、実際のビジネス環境で実効性を担保するのは一段も二段も上のことであり、能力がないのに騒ぎ立てる人が一定割合で出現するものだからです。)

 

であれば重要なのは、『ジェネラリスト的能力』が尊ばれそうな職場であるかどうかを見極める点であり、もし尊ばれそうな職場であれば『ジェネラリスト的能力』を伸ばすことを意識して家事育児に思い切って時間を投下することだと思うのです。

(※逆に言うと、『ジェネラリスト的能力』が尊ばれなさそうな職場であれば、独力で職場を変革することは非常に難しいので、程度によっては転職を考えた方がよいです。とはいえ転職しようにも転職先の見極めも転職前から容易にできるわけでもなく、厳しい展開を強いられるかもしれません。)

 

4.家事育児で賄えないものを考える

ただし、いくら家事育児を通じて『ジェネラリスト的能力』を育てることができ、それによってビジネスパーソンとしてスキルアップできるからといって、それだけでビジネスパーソンとして成長し続けられるかどうかというと、その成長曲線は徐々に鈍化していくだろうというのが私の直感です。

というのも、ビジネスパーソンとしての能力は『ジェネラリスト的能力』だけでなく、もちろん『スペシャリスト的能力』も必要ですし、なんなら苦境を乗り越えてきた『ビジネス経験』や、ビジネスを飛躍させる『人脈』が欠かせないからです。

『スペシャリスト的能力』の観点で言うと、業界・業務特有の知識や知見、トレンドといった、いわゆる『ドメイン知識』の獲得に時間を費やせずに、徐々にキャリアが尻すぼみになってしまうリスクがあります。また、朝夜や休日を家事育児に費やすことからネットワーキングが疎かになり、加齢のわりに人脈を駆使した貢献ができないビジネスパーソンになってしまうリスクもあります。

つまるところ、家事育児で賄えないもの、つまり子育てに尽力する親でもあるビジネスパーソンが自己研鑽しづらいがゆえに相対的なスキルダウンからキャリアダウンに繋がりやすいのは、『ドメイン知識』の獲得と、ビジネスを飛躍させる『人脈』の獲得にあると思えたのです。

そして、『ドメイン知識』の獲得と『人脈』の獲得両方には、家事育児で忙殺される中、家事育児から離れた時間をどうやって日常的に作り出すか、そして何をしてもよいその時間に自己研鑽へと踏み出す気力をどうやって維持するか、という難題が待ち構えているように思えたのです。(※このあたり、MECE感なく雑な議論のまま書いているので、いつか体系立てて書きたいところです。)

 

私の話に戻ると、冒頭のツイートで私がなけなしの投資によって時間を無理やりに作っているのは、この『ドメイン知識』の獲得が該当します。

一方の『人脈』については、社会的に設けられているネットワーキングの場がほとんど平日夜であることから機会をなかなか作れずにおり、だからといって休日に頻繁に外出できるほど家事育児に余裕があるわけでもありません。加えて旧友とのやり取りも疎かになっているというのが実態です。

育児を始めてから唯一費やす時間が長くなった行動であるTwitterについても、フォロワーはぼちぼち増えているもののSNSが直接ビジネスに活きたことは今のところ無いですし、まあ別に人脈獲得を狙って呟くわけでもないわけなので・・・、Twitterは引き続きのんびりマイペースに続けつつ、そろそろ復職から半年が経とうとしているので、長期を見据えて何かしら対策を考えたいところです。

 

5.まとめ

ということで、「家事育児に忙殺されて自己研鑽に時間を使えず、相対的なスキルダウンによりキャリアダウンしていくリスクへの対策として、家事育児の経験を通じた『ジェネラリスト的能力』を育てつつ、それでは賄えない『ドメイン知識』の獲得や『人脈』の獲得のためには時間確保への投資が必要である」という点について、長々と書いてみました。

とにもかくにも時間の確保が課題であるという、身も蓋もない提言になってしまっていますが、現代の共働き子育て世代は「時短家具の導入や家事外注、シッター契約など、あらゆる技を駆使して時間の確保をしていくべき」という考えを補強する主張だと思えば、まあそれなりに納得感はあります。

これからは、男性の育休ならびに育児参加が一般的になっていくにつれて、ビジネスパーソンにおける子育てする親の割合が飛躍的に大きくなっていくと思われます。そして次第にキャリアをめぐる摩擦が大きくなっていく中で、子育てする親でも問題なく自己研鑽できる社会への変革も進んでいくことを期待したいところです。

自分としては、その潮流の先を走る気持ちで、引き続き『上手いやり方』の開発に勤しんでいきたいと思います。

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ブログ著者について

那須野 拓実(なすの たくみ)。たなぐら応援大使(福島県棚倉町)。トリプレッソを勝手に応援する人。ネイチャーフォト中心の多言語ブログを書いてます。本業はナレッジマネジメントとかデータ分析とかの何でも屋ですが、今は半年間の育児休業中。
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