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育児
2022/10/10

首都圏に住む共働き子育て世帯が、家事育児両立の環境改善を目指して新築戸建てを買った話

※この投稿は、2021年の物件購入を振り返っての内容です。そのため、現状と異なる箇所(特に法律や制度面)がある可能性があるため、ご注意のうえお読みください。

こんにちは。那須野です。

このたび新築戸建てを購入ということで、自分用の備忘録だけでなく友人・親族への知見共有も兼ねて言語化しました。興味ある方はどうぞ。

※全体感のある参考情報が見当たらなかったので、気になった論点を片っ端から書きました。2万字近い長さがあるので、ご注意ください。

~娘と桜のツーショットです。本編とは関係ありません~

 

夫婦共働きでの育児と仕事の両立は、とにかく大変です。我が家では家電やITツールの導入、宅配サービスの利用、家財の配置換え、断捨離、整理整頓の徹底、生活習慣の見直しなど手を尽くして臨んでいましたが、こういった小手先の努力でどうにかなる部分は限定的であり、総合的には負担の大きな生活を続けていました。

 

引っ越したい…

というのも、ボトルネックはやはり家。

自然が近くにあり、割と静かな一方で、駅やお店へのアクセスが圧倒的に良いアパートの一室に長らく住んでおり、夫婦ともに大満足で暮らしていたわけですが、子供ができると話は変わってきたのです。

とにかく、狭い。面積が足りない。40平米ほどは我々二人住まいには十分でしたが、子供ができると余裕がなくなりました。

  • 常に床に散らかる子供のおもちゃで足の踏み場は無くなって、恒常的なストレス要因になる。片付けても片付けてもエンドレス。
  • もともと広いわけではなく物の置き場の自由度が高いわけではなかった中で、子どもが触ってはいけないものを収納する場所に欠けていた。とにかく物を置く場所に困る。
  • 疲れて休息に専念したいときに、子供と離れて寝るためには居間で寝るという選択肢を取らざるを得ず、就寝グッズが居間を圧迫する。
  • 将来的に、子供が小学生になったときの学習机を置く物理的余裕が皆無。全くイメージが沸かない。

色々と工夫はして、実際に改善はしていたものの、根っこにある辛さを取り除くには足りなかったという所感でした。長期的な目線で考えて、より広い家に引っ越すという、わりかし重い手段を取るべき時が来たのかなという考えに至りました。

 

ただ、ここからが厄介なのですが、娘と今の保育園との相性が非常に良いため、保育園を変更せずにいたいという課題が出てきました。この課題にぶつかる子育て世帯は多いと思うのですが、これはつまり(程度はあれど)近所で引っ越し先を探さねばならないということに繋がります。

私の今までの引っ越しと言えば「どの町に住もうかな?」から始めていたところ、今回は「この町のこのエリアにある物件で良いものはあるか?」という探し方になりました。そしてこの探し方は、ファミリー物件が良く出るエリアであれば良いのですが、物件の流動性が低いエリアでは致命的になりかねない要素です。

 

そんな中、物件の要件としては、

  • 今は40平米ほどだが、少なくとも60平米がほしい。
  • 自家用車は持たないので、駅から徒歩10分圏内が必須。
  • 築年数は30年よりは新しいところにしたい。
  • 家賃は1.5倍くらいなら許容。

くらいの条件しかなく、ファミリー物件としては割と普通の条件を並べてのスタートとなりました。

 

実際に物件探しをスタート

実際の物件探しでは、最初はアパートで探したものの、ほとんどありませんでした。そもそもの数が少なかった(改めて見渡せば高層マンションがなくファミリー物件も少ないエリアだった)ため、ファミリー物件があったとしても非常に古い物件、家賃が倍以上になる物件、お世辞にも駅チカとは言えない物件、線路沿いで騒音が気になる物件など、決め手に欠ける状況でした。

アパートが望み薄となると、次に考えたのはマンションの購入です。エリア的に新築マンションが建つ見込みはパッと見で皆無だったので、ここはやはり中古マンションに向かうことになります。

ネットの媒体やリアルの不動産屋を通う日々を数か月続けていたところ、数少ない駅チカの(割と)大型マンションで一室が空く情報を得て、一通りのリサーチをした結果として特段問題はないこと、かつぼちぼちのお手頃感を感じたため、即座に内見→申込をしました。

内見開始される最初の週末に内見して当日即座に申込をしたわけで、もちろん住宅ローンの審査で引っかかる可能性はないと踏んでいたので、(これで生活を一転できる…)と心の中で思っての申込でした。

 

しかし、結果は落選。落選ってあるんですね。びっくりしました。

こういった中古物件の取引は、同日の申込者の条件をリストアップして、売主様が「売りたい」と思った人に決まるのだと営業の方から聞きました。私は一番早い申込で、かつローン審査の結果や売主様の心象は良かったものの…

 

なんか、他の人が、現金購入だったそうな。

(あー・・・えー・・・そうか、現金か。現金購入か。そりゃ現金には勝てないわな・・・)

などと頭の中に反芻しながら、営業の方からの電話を切りました。

もちろん個人で購入する金額としては、安くないというか私史上最高額だったわけでそれなりに覚悟して申し込んだわけなのですが、なんか、こう、思いっきり空振りするってこんな感じだなと思いました。

 

総力戦に突入へ

この落選は、大きな転機でした。結局、ファミリー物件が少ないというのは私にとってだけの話ではなく、他の人も同じようなことを思って探しているわけで、相当に競争が熾烈なエリアだったかもしれないという仮説を突きつけられました。そして、手段を選んでいては望む引っ越しは敵わないだろうと直感し、今まで全く考えていなかった『新築戸建て』という手段を考え始めました。

もちろん賃貸アパートや中古マンションも並行して情報収集していくわけですが、もともと「いつかは地方に移住して自然豊かなところで暮らしたいね」と夫婦で話し、自らは地域おこし活動も色々やっていた私にとって、首都圏に家を持とうとするのは強烈な発想の転換でした。

(とはいえ、育児と仕事の両立の大変さの中で地域おこし活動どころか旅行という名の地方視察すら激減し、そこにコロナ禍が直撃してトドメを刺された形なので、この意思決定の半分くらいはコロナのせいかもしれないです。)

 

さて、新築戸建ても視野に入れて物件を探し出すと、ぼちぼち土地は出ていることが分かりました。見た感じ、毎月1件出るかどうかぐらいには出ている感じで、中古マンションよりは可能性がありそうに感じました。

ただし、戸建てとなると、単純な土地の広さだけでは済まず、マンションやアパートと比べてしっかり考慮すべき要素が一気に広がります。業界の人にとっては当たり前のことなのでしょうけれど、

    • 日当たりは十分にあるか?隣家が平屋など低い建物の場合、将来的に限界高さギリギリに建て替わったときの採光はイメージできているか?(旗竿地の場合は、日当たりに特に注意すること)
    • 土地周辺の街灯はどうなっているか?主要な駅やバス停の往復路はどうか?暗い夜道を歩かざるを得ないような場所ではないか?
    • 土地周辺に、夜明るくなりすぎる建物が建っていたりしないか?
  • 空気
    • 大道路や工場などの排気や空気汚染が酷かったりしないか?
    • 嫌煙家の場合、主要生活導線上に野外の喫煙スペースがないかどうか?あるとしても、気になりすぎる場所ではないかどうか?
    • 面する道路の人通りは許容範囲か?車の騒音や近隣のお店の音楽などがうるさかったりなどはないか?(なお音の注意点として、地階の騒音と上階の騒音は差異がありうる点がある。地階だと周りに囲まれて静かだが、上階は空が開けて遠方の音がよく聞こえる、ということがありうるからである。なるべく居住予定で最も高い位置での音確認が望ましい。)
  • 土地
    • 接道条件はどうか?同条件の家は再築できるか?
    • 面する道路は私道/公道のどちらか?私道の場合、道路や配管、電柱などの所有状況はどうなっているか?通行掘削や道路管理などの覚書は適切に交わされるか?セットバックは発生するか?
    • 建蔽率や容積率はどの程度か?用途地域はどうなっているか?防火地域/準防火地域などに指定されているか?絶対高さ制限や日陰制限、斜線制限はどのようにかかるか?
    • 建築条件付き土地なのか、自由に施工業者を選べる土地なのか?
    • 引かれているガス管は都市ガス/プロパンガスのどちらか?
    • 都市計画道路などのリスクある土地ではないか?近隣には好ましくない施設が存在しないか?
    • コンビニやスーパーなどの隣や目の前はなるべく避けたいが、とはいえ徒歩3分以内とかであると嬉しいので、絶妙な距離にいい店舗があるかどうか?
    • ゴミ捨て場はどこか?そこまでのアクセスは良いか?
    • 土地が狭い場合、家周りの配管の自由度がほぼ無くなる可能性がある。木を植えたい、カーポートを設置したいなど外構工事を考える場合、上下水道やガス配管、また水道メーターやガスメーターなどが邪魔にならないかは念入りに確認したい。ルートも大事だが意外と深さも大事となる。
    • 分譲地の場合、販売時の住所と登記時の住所が異なることがある。該当しそうな場合は、最終的な住所がどうなるか(どうなりそうか)は確認したい。
  • 隣家
    • 隣家に変な人はいないか?
    • 隣家の窓の位置はどうなっているか?(向かい合わせになる窓は付けづらいので考慮する)
    • 隣地との境界線は明確か?また、はみ出しがある場合、覚書が交わされるなどの対策はされているか?
  • 災害
    • 面前の土地の高さや地質はどうか?周りより低く水が流れ込みやすかったり、水はけが悪く水溜まりができやすい場所であったりしないか?
    • 地盤はどうなっているか?液状化や地滑りなどのリスクのある土地ではないか?
    • 自然災害のリスクはどの程度か?ハザードマップで示されるリスクは許容範囲か?過去に大きな災害が発生していないだろうか?
    • よく言われるのは、古地図の活用。古地図を見て昔の地名が水を想起させるものかどうかは1つの判断基準になる。旧知でない土地の場合は、調べてみると良いかもしれない。

などは最低限考えないといけないことなのかなと、勉強しながら思いました。このあたりの条件って、とりわけマンションでは無条件に安心が確保されていることが多く、戸建てならではの要素だなと感じました。

そして、土地は毎月ぼちぼち出てきたとしても、こういった要素を考慮して見定めると我が家的に及第点となる土地は限られるということも分かりました。広い土地があればどうにでもなるというわけではないというのは、割と想定外の発見でした。予算もありますしね。

 

件の落選経験から、もし良い物件が出たら最速スケジュールでのスピード勝負となることは明らかだったため、この点に関してはできる限りで最大限の努力をしました。ネット媒体についてはSUUMO、HOME'S、アットホーム、ノムコム、東急リバプルなど主要媒体(実は会員登録自体は3倍くらいしたが、検索条件の使い勝手の問題で巡回は上記あたりに着地した)に加えて、地域限定の未公開物件を扱うネット媒体にも多数登録して、だいたい毎日巡回してみました。リアルの不動産屋も週1くらいで物件状況を見に行ったり、ハウスメーカーの展示場に行って営業さんと繋がったり…ということもしてみました。

(※よく言われる話ですが、土地を含めた不動産は売り出されてから1週間以内にREINSという業者専用の全国共通不動産取引サイトに掲載されるルールのもとで動いており、利益の大きな両手取引を狙う売主はREINSに掲載する前にクローズドな場での成約を目指すので、良い不動産はその間に成約しがちです。逆に言うと、良い不動産はネット媒体には掲載されづらいということであるため、未公開不動産を多く扱う営業さんと繋がって情報を水面下で素早くもらえるかどうかが死活問題であることを示唆しています。)

つまるところ、注文住宅の土地探しはざっくり言うと、①媒体をレアなタナボタ目当てで巡回して探す、②REINSを見られるハウスメーカーないし工務店の営業さん(宅地建物取引士)と連携して一緒に探す、のどちらかという所感でした。このあたり、どちらがよいかは探している土地の条件次第なところもある一方で、「ここで絶対建てたい!」というハウスメーカーないし工務店の希望があるかどうかが決め手かなと感じました。まあ、土地探しと同等かそれ以上にその明確な希望を持つことも難易度高いなあとも思ったのですが(苦笑)。

詳細は省きますが、数か月のリサーチを経てとある土地に行き着き、速やかなる商談プロセスを経て無事契約に至りました。私自身は不動産に詳しいわけではなかったですが、仕事で今まで積み重ねてきた法人ビジネスの経験は物凄く活きたなと感じました。商談経験の積み重ねもそうですが、法人として億のディールも経験してきたというのは、不動産契約の額面を見てもあまりビビらず焦らず真っすぐに商談に臨めた最大の要因だったなと思いました。

 

狭小住宅を学ぶ

ただし、結果として、30坪(≒99平米)を切ると狭小住宅と言われてきた戸建て界隈において、十分に狭小を名乗るに足る土地となりました。まあ、30坪というのは昔ながらのサザエさんみたいな世界観での狭小住宅の考え方なので、現代の首都圏では約15坪以下が狭小住宅っぽいらしいです。Wikipediaはこう語っています。

狭小住宅(きょうしょうじゅうたく)は日本の住宅の類型。狭小な土地に建てられた狭小な住宅のこと。明確な定義はないが、一般に約15坪(50m2)以下の土地に建てられる住宅が狭小住宅と呼ばれる。狭小な土地に建てられた建売住宅につけられた蔑視的な呼称としてミニ戸建てと呼ばれることもある。(Wikipediaより引用)

こういった定義がWikipediaに載り、多くのネット媒体でも同様の紹介がなされ、実際に首都圏の駅チカで取引される物件の大半が土地30坪未満なのではないかと思う一方で、世には30坪を狭小と表現する不動産業者も多く散見されるわけで、(これが価値観の差異…多様性か…)などと心の中で呟いたのは内緒です。

 

さて、狭小住宅(敢えて言う)で快適に暮らすには工夫が必要です。生活スタイルのこだわりが強い家庭の場合、多少広くなるとはいえ自分たちの生活に合わない間取りに無理に合わせて住むというのは、狭いアパートに住んでいた時とは違う辛さが発生しがちです。なので、どういった生活をしたいかをなるべく具体的にイメージして、それを上手く実現できるような家を考えることにしました。

そのためには、まずは勉強です。本もそれなりに呼んだのですが、今どきはYoutubeに多くのプロや先駆者が情報発信しているので、Youtubeで良質な動画を片っ端から見るのが一番有効だと感じました。個人的にオススメのYoutubeチャンネルは以下の18個です。

  1. 家づくり せやま大学【ちょうどいい塩梅の家づくり】。「ローコストすぎるのはダメ。でもだからと言って金をかけまくればいいというわけでもない。優先順位をつけてバランスを取るべき」という貴重な中庸の発想が徹底されており、学びの連続。公開されている「せやま性能基準」は必読。30坪=狭小の発想、かつ平屋推しという特徴はあるものの、個人的に最も勉強になったチャンネル。
  2. げげ。昔ながらの戸建ての価値観を分解して、本来大切にすべきエッセンスをもとに今風の戸建て観に再構築して語っている設計事務所代表のチャンネル。ライフスタイルを基にした考察や、図解や実際の間取りを通じての具体性、両論併記の公平性に特長がある。ロジックを基に設計を考えたい人にオススメ。
  3. 佇まいまで、シンプルに。。間取り添削が光るチャンネル。視聴者から依頼された間取りについての添削動画が多数並んでおり、その添削はヒアリングした視聴者の価値観に合っているかどうかを徹底しているのが特長。よい間取りだったときも、もう1ポイント大切にしたい価値観を加えるとしたら…という視点でアドバイスしており、げげと同様に戸建ての価値観を学べる貴重なチャンネル。
  4. ラクジュ建築と不動産。横浜にある工務店で、高品質な住宅に関する情報を積極発信している。首都圏の建築士Youtuberとしても希少。高気密高断熱やG1,G2を推しており、しっかりした戸建ての発想を学べる。建築予算が心配になるチャンネル筆頭(苦笑)。
  5. ウィンウィンホーム(建築ザムライ語り部屋)。愛媛県の工務店であるウィンウィンホームの社長がルームツアーを展開するチャンネル。性能もさることながら、とにかく「豪勢」な戸建てが紹介されている印象で、他のチャンネルとの振れ幅が大きくて勉強になる。
  6. 狭小地の家づくり garDEN on TV。京都にて注文住宅・リノベーションを手掛ける工務店。驚異の10坪戸建てルームツアーから始まり、京都によくある間口の狭い土地でも住みよい物件を多く手掛けている模様。イマドキの狭小住宅をオシャレに計画する策に溢れている。
  7. 株式会社じょぶ。大阪にて注文住宅・リノベーションを手掛ける工務店。敷地14坪から始まり、20坪前後のルームツアー動画を多く出している。吹き抜けやストリップ階段を中心に、明るく開放感のある戸建てに特長がある。
  8. ウィングホームの「家建て」ちゃんねる。落ち着いた言動の父親とハイテンションの娘という異色コンビが繰り広げるルームツアーが特長。楽しく見られる。建物がとにかくオシャレ。静岡の工務店ということもあって、それなりの大きさの住宅がメインの模様。
  9. 家サプリ【住まいの健康情報】。家の性能として重要だが語られることの少ない気密について専門的な情報を分かりやすく発信している。自分でちゃんと知っておきたい人にはオススメ。
  10. 群馬で注文住宅子育て世代の家設計室。理論的かつ中立的に家の性能について語っている有用なチャンネル。一級建築士の小暮氏による評価はロジックが科学的に通っているもの満載で、ポジショントーク祭りのYoutubeの中でも安心して納得できる。
  11. チャンネルあきMy Home Recovery。断熱気密性能がそこまで高くない建売の新築戸建てを購入した人が、「My Home Recovery」と題してDIYによって安価に性能を上げていくチャンネル。多くの建築系チャンネルがプロによるものであるのに対し、アマチュアサイドの努力人として希少価値がある。建てた後のDIYを考える人にオススメ。ただし、第二種電気工事士は持っており、プロではないかもしれないが素人とも言えないのは確か。中空ポリカ推し。
  12. 不動産屋ラムエイ。圧倒的なルームツアー量で、リアルな戸建てとは何かをイメージできる。戸建てを建てるうえで、どういう工夫ができるのか、何を気にすればいいかの基礎知識が付く。なお、ゆっくりボイスの動画なので、苦手な人は苦手。
  13. ゆっくり不動産。不動産屋ラムエイと並び立つ圧倒的なルームツアー量。超個性的な物件が多く、戸建てにどんなワンポイントを入れるかを考えるうえで特に役立つ。なお同じくゆっくりボイスの動画なので、苦手な人は苦手。
  14. 不動産屋ランドアーズ。ルームツアーが非常に多い。何かしら尖がった部分のある他のルームツアーチャンネルと違って建売感が相対的に強い印象で、「そうそう普通の戸建てってこういう感じだよね」と、ともすれば闇雲に尖がりまくっていく夢間取りについて客観的に見直す機会を与えてくれる、ある種の貴重なチャンネル。
  15. 「カーメン君」ガーデンチャンネル。園芸について非常に幅広く発信しており、とにかく勉強になる。マイホームで家庭菜園をやりたいという方にイチオシ。
  16. グリーンロケットの植木チャンネル。シンボルツリーやグランドカバープランツ、生垣などを考えている方には是非オススメしたいチャンネル。非常に幅広い樹木について紹介している。ECサイトも運営しており、1本物のシンボルツリーを写真付きで見て購入できる。
  17. 住宅FP関根。フィナンシャルプランナー(FP)として住宅のお金まわりについて幅広く発信している。金利動向についても毎月発信しており、最新動向を把握しておくのにも役に立つ。お金まわりのチャンネルとしてはイチオシ。なお、圧倒的な滑舌の良さとフィジークで鍛え上げられたボディは、ナイスミドルの一言。
  18. ライフスタイルジャーナル。収納アイディアやおすすめの暮らしグッズを大量発信している。戸建てを建てた後に室内をどう整えていくかの想像が捗る。

家は頭の中で立体的にイメージできるかどうかが早期の判断に重要であるため、ルームツアーを片っ端から見ていって平面的な間取りと立体的な動画のイメージをリンクさせて理想の家を頭の中で想像できるようにしていく、というのが効果的だと思いました。

副次的な効果として、話し言葉の中でいたるところに出てくる不動産の専門用語の意味や使い方が分かるようになるため、業者との商談もスムーズになります。言葉が分かるというのは効果的な異業種交流の基本だと再確認しました。いやはや、今の時代は素晴らしいです。

ただ、戸建ては青天井で、値段を出せば出すほどクオリティが高くなっていくわけで、そのクオリティアップは家族の健康やらランニングコストの安さやらを手に入れる手段となってきます。本当に青天井ですし、世の情報は土地の広い田舎基準が基本なので、都会の狭小住宅を考える人はどこか(多数)で割り切る決断力が不可欠だと感じました。

例えば断熱性能、気密性能は如何ほどを求めるか。Ua値やC値などの数字もさることながら、断熱材の種類やランク、家の性能の弱点と言われる窓や玄関ドアの性能をどうするかもあります。断熱材については、壁、床、天井ごとに変わってくるのでそれぞれチェック。このあたりは、オプションでアップグレードする発想というよりも、標準仕様で勝負すべきな印象でした。各社ポジショントークに近いアピール合戦が行われており、素人目の判断は難しいのですが、個人的な結論としては家のサプリや子育て世代の家設計室あたりの説いている「素材名や施工方法名が本質ではなく素材の実際の断熱性能や施工品質が大事で、設計品質のUa値ももちろん大事だが何より施工品質のC値が肝」という視点はしっかり押さえておきたいなと思いました。

断熱性能や気密性能と同じくらい重要な指標として、耐震性能があります。地震に対するリスクと対策をどう取るかは人次第なところではありますが、明確に考えを持ったうえで決断すべきだと思いました。

また階段について、形状は直線やL字やU字などがあるがどうするか、曲がり角があるなら4段回りにするか3段回りにするか、はたまた2段回りや1段回りにするか、またトータルの段数は13段と15段が多いがどうするか等もあります。

さらには、エアコンも従来の壁掛けエアコン以外にも、屋根裏エアコンや床下エアコンなど色々な種類があります。いわゆる全館空調で、エアコン1台で家中の空調をという発想もあります。また、室内機をどこに置くかという単一要素だけでなく、室外機をどこに置くかは外からの見た目や隣家との関係も関わってきます。

家作りはこういった細かいたくさんの要素が絡み合っており、自分の理想とする生活を実現できる家かどうかを図面で判断することは、中々に難しいものだなと感じます。

お金に全く心配がなければ、何でもできるんですけどね。苦笑

 

価値観を解きほぐして設計する

私の場合は間取りから自分で決めたのですが、間取りを考えるうえでは自分の価値観、そして家族の価値観を解きほぐしていくという過程が重要でした。「狭小住宅=30平米未満」という価値観もそうですが、昔ながらの価値観が強く残る戸建て界隈において、令和を生きる家族としてはその価値観を理解しつつもゼロベースで自分たちの価値観を認識する必要性を強く感じました。

賛否は確実に分かれるしかないところですが、我が家が住みよい暮らしを実現するために形にした価値観をここに書いてみたいと思います。

  1. 運転しない我が家にとって自家用車は不要なので、ガレージ(車庫)は作らない。その分、1階を広く取る。なお、自転車は引き続き持ちたいので、自転車置き場は確保しておく。
  2. 寝室は寝るだけの部屋ということで、必要最低限の広さに留めておく。なお、子供の勉強は親の目の届くLDKエリアにスタディコーナーを作る。
  3. 寝室以外は開放的な間取りにして、どこにいても家族の存在を感じられるようにする。これは昨今重視されがちなリモートワーク用個室とは真逆の価値観だが、そういう個室は優先度を下げた。
  4. 洗面所は独立にして脱衣所とは別にすることで、帰宅したら誰かが着替え中で脱衣所に入れなくてもすぐに手を洗えるようにする。
  5. 脱衣所や風呂場に窓はいらない。どうせ開けないし、断熱性能が落ちるだけ。換気は換気扇をガンガン回していけばよい。
  6. 窓の性能は地味に重要項目。色や柄云々の前に性能。建物の一番の弱点は窓なので、どれくらいの性能を担保するかをガラスとサッシに分けてしっかり考える。
    • 窓のガラスは、シングルガラス/ペアガラス/トリプルガラスの順に性能が上がるうえ、ペアガラス以上はLow-Eガラスによる断熱ガラス/遮熱ガラスもあったり、ガラスの間に注入する空気も乾燥空気/アルゴンガス/クリプトンガス/真空などがあって性能が変わってくる。
    • 窓のサッシも重要。アルミサッシ/樹脂アルミ混合サッシ/樹脂サッシがあり、この順に性能と値段が上がっていく。
    • また、窓の形状も実は大事。一般的な引き違い窓(※外に網戸)に加えて、横すべり出し窓と縦すべり出し窓(※手前に網戸とハンドルあり)、上げ下げ窓(※外に網戸で内にハンドルなし)、内倒し窓 (※外に網戸で内にレバーあり)、FIX窓(開けない窓は無難に固定して気密向上)、テラスドア(※大型家具の搬入口)など特徴的な窓が多数ある。引き違い窓は気密が悪くなりがちなため、適度に他形状を織り交ぜていくこと推奨される。個人的には縦長の横すべり出し窓と上げ下げ窓が気軽に換気できて好き。
  7. 建物の二番目の弱点は玄関ドア。色や柄は外観に合わせて好みで決めればよいだけだが、玄関ドアの性能は仕様がある。k4/k3/k2/k1.5の順に性能と値段が上がっていくので、窓と同様にどれくらいの性能を担保したいかしっかり考える。なお、最近は開き戸タイプではなく引き戸タイプが徐々に増えており、ベビーカーや荷物持ちでの出入りがしやすいとファミリー層で人気とのことだが、気密性を重視して我が家や開き戸という判断に。
  8. 建物の寒さの意外な弱点として、換気口や給気口がある。外気を直接取り込むため、冬場は寒さの原因になる。ロスナイなど熱交換型のものを設置したり、吸音断熱タイプのポレットなど換気口カバーをつけるなどの対策は考えておく。なお、寒いから換気しないというのは健康に悪いので避ける。
  9. 室内の扉は、開き戸ではなく引き戸を基本とし、扉を開けっ放しにしていても違和感なく過ごせるようにする。設計の問題で引き戸が難しい場所は、引き込み戸の代用も考える。開き戸は極力使わない。
  10. コンセントは「付けすぎでは…?」と思うくらいに付けておく。ライフステージが変われば必要となる家電は変わるし、向こう数十年の変化は読み切れない。最初に付けるのは安いが、途中で増やすのは値段が一桁変わってくる。引っ越し時点では多少余るくらい付けていく。特に注意したい場所は、キッチン上で使えるコンセント、カップボード周辺の調理家電用コンセント(たくさん)、ダイニングテーブルで使いやすい位置のコンセント、クローゼットを含めた収納内コンセント、洗面所まわりのコンセント(2口では足りない)、加湿器や空気洗浄機用のコンセントなど。意図的に指定しないと床からの高さはデフォルト=25cmくらいになりがちなので、配線が伸びすぎないよう活用シーンをイメージして高さをしっかり設計する。なお、壁にサーキュレーターを付けたり窓に電動ロールスクリーンをつける場合はピンポイントで設計しておくこと。
  11. シーリングライト用のローゼット(シーリング)も要注意。引掛シーリングとそれ以外で大別され、前者は耐荷重10kgまで大丈夫だが、後者は5kgまでとなっている。大きな部屋はデフォルトが引っ掛けシーリングになりがちだが、そうでないと小さいものになりがち。5kgを超えるものはなかなか大きなものになるが、例えばサーキュレーター付き天井照明だと5kgオーバーはよくある。これも「どこに何をつけるか」を具体的にイメージして設計したい。なお、プロジェクター付き天井照明の代表格であるpopIn Aladdinは5kgに収まる模様。
  12. ライトのスイッチも要検討。特に廊下のダウンライト用のスイッチをどれくらいまとめて点灯・消灯できるようまとめるか、また動線の入口で問題なく手が届くところに設計できるかは、第三者の冷静な目線での確認を経たほうが良い。また、パイロットスイッチやほたるスイッチなどを希望する場合は、しっかり設計しておく。
  13. WiFiのモデムやルーターを、なるべく建物の中央(高さ含む)に違和感なく置けるよう計画する。
  14. 家の性能を重視し、長期的なメンテナンスコストを下げるための初期投資は惜しまない。逆に家の性能に直結しないタイプのお金のかかるコダワリは雑念ということで捨て去る。
  15. 外壁、屋根、内壁、床材あたりの細かい仕様は割愛するが、他と比べると全体的に優先度は低め。内壁と床材は標準仕様の中で選ぶ。ただし外壁と屋根は選べるオプションの中で一番性能の良いものにするぐらいはしておく。
  16. 家に緑は欲しいので、庭や家庭菜園を最低限楽しめるようには投資しておく。
  17. どれくらい機能するかは分からないが、施工について自分でも勉強したうえで建築途中での構造見学を依頼し、気密断熱状況などを自分でしっかり見て理解する。

ざっと書いてみましたけど、まあ絶対に「私はこうしない!」という意見をお持ちの方はいっぱい出てくると思うんですよね。綺麗に二分されるタイプの論点ばかりだと思うので。ご笑納ください。

こういった価値観を踏まえつつ、建築士さんと話しながら間取りやデザイン、オプションなどを決めていきました。最初の概算見積もりから絶対に金額は上がるだろうとは思っていましたが、予想通りドンドン上がって(ほう…)って感じでした。最初期の見積もりから1〜2割は平気で上がりうると思っていないと大火傷しかねません。予想を大幅に上回ることはなかったですが、事前に持っていた悲観シナリオくらいには突入したので、なるほど勉強にはなりました…。笑

 

(ちなみに後悔ポイント)

「家は3回建てないと理想の家にならない」とはよく言いますが、我が家も概ね満足しているものの細かいところを挙げればキリがありません。さすが戸建て初心者…

もう一回チャンスが持てるなら改善したい点を、いくつか紹介します。

  1. 準防火地域なので窓は網入りガラスが基本なのだが、季節によっては大きく採光を採る高階の南向き窓は、全部思い切って耐熱強化透明ガラスにして網なしにすると空が綺麗に見えて良かったかもしれない。あと、これらの窓は開放しがちなので、ついでに断熱性能も一段か二段上のものにしても良かったかもしれない。
  2. コンセントは考え抜いたつもりだったがまだ足りなかった(苦笑)。反省点として、人が滞留する場所(座る場所や寝る場所)には漏れなく付けるべきという点、通り過ぎるだけの場所はあまり要らないという点、本当によく使う場所は2連コンセントを積極導入してよい点は覚えておきたい。
  3. 戸建ては一階の床が相対的に冷たくなりがちなので、一階床の断熱材はもっとアップグレードしたほうが良かったかもな…と思った。程度の問題は難しい…
  4. エアコン無しで生活する時期に網戸で換気しやすくなるよう、横幅が狭く縦長の横すべり出し窓や上げ下げ窓(この2つが気軽に換気しやすかった)を対角線に配置するともっと良くなったと思う。
  5. 間仕切り壁には、もうちょっと気軽にニッチを増やして収納力をアップさせても良かったかもしれない。(配置にセンスが問われるのと、ニッチを作ると壁が減るので変に作るとデメリットの方が上回るかもしれないが。)

キリがないですね。本当に(苦笑)。

 

建物の引き渡し後の出費を考える

戸建てを買ううえで意外な盲点となるのが、建物の引き渡し後の出費です。念願の戸建てが完成して喜ぶのも束の間、実際に住むためには様々な出費が必要なわけですが、それなりの頭金を払ってキャッシュが減った状況での予想外の出費となると、頭を抱える展開は否定できません。しっかりと出費の計画を立てておく必要を感じました。

どういった出費がありうるのか、一覧化してみましょう。

  1. 引っ越し業者に払う費用。主に引っ越し距離と物量によって決まる。数万円~数十万円が相場。
    • 比較サイトで相見積もりを取るのがオーソドックスだが、引越安心マークがついていること、価格の安さだけでなく、適切な補償がついているかどうか、段ボールなど梱包資材が無料でもらえるかどうか、引っ越し後に段ボールなど梱包資材を改修してくれるかどうか、ベッドなど大型家具を解体してくれるかどうか、エアコンの脱着がオプションになるかどうか、不用品処分をお願いしたい場合はできるかどうかなども小さいながら検討ポイント。
  2. エアコン代とエアコン工事費。現在の住居からエアコンを持っていけるかどうかにもよるが、基本的に部屋が増える引っ越しであれば新しいエアコンを追加購入するのが基本。エアコンの価格は部屋のサイズや機能によって料金が大きく変わり、数万円から数十万円とブレ幅が大きいので、どういうエアコンを買うかは事前に目星をつけておく。なおエアコンの畳数表示は無断熱住宅を前提にしたものであり、住居の断熱気密性能によって適切なエアコンは変わるので、どの程度のエアコンをつけるべきかは建築士さんに相談すること推奨。また、エアコン取り付けの工事費も馬鹿にならず、1台あたり数万円程度は見ておくべき。特に上階から地面に落とす立ち下ろしの場合は様々なオプションが付いて高額になりがちなので注意。
    • エアコンは省エネ度合いがどんどん進化しているので性能を重視したいが、付加機能も意識したい。加湿機能や空気清浄機能、スマホ操作機能、人感センサーや床温度センサーによる自動運転機能、自動お手入れ機能などがある。
    • また、エアコンの取り付けに関しても業者によって施工能力が変わってくる。断熱気密防水処理の程度であったり、室内ダクト、室外ダクトの施工であったり。エアコン販売業者にそのまま任せられるのか、取り付け専門業者に依頼するのかは要検討。
    • なお、エアコンはコンセントが100Vと200Vの2種類あり、大型のものを設置する場合は200Vである必要がある。一般的には14畳以上かどうかで判断されがちだが、境界線だったりすると思わぬコンセントが予定されていたりするかもしれないので注意。意図的に確認する。
  3. カーテンレールとカーテンの費用。新築戸建てにカーテン関連はつかないのが基本なので、自分で調達する必要がある。カーテンのお値段はそれこそピンキリだが、1枚あたり数千円から始まり、しっかりしたものでは1万円を超える予算感で見ておくべき。一方のカーテンレールは1個あたり2000~3000円程度で買えそうな感じ。なお、取り付けに関しては、エアコンと比べればDIYというのも割と現実的だが、業者に頼む場合は取り付け費用として1個あたり数千円という金額感になってくる。窓のサイズや数によっても大きくぶれてくるので、事前にしっかり計画しておく。
    • カーテンは一般的なカーテンに加えて、ロールスクリーン、ブラインド、プリーツカーテン、ハニカムシェードなどがある。単純比較では、空気層を含むハニカムシェードが断熱性能で有利で、ハニカムシェードの中にも遮光性有無や断熱レール有無など性能の違いがある。また、他のカーテン種類でも遮熱性、断熱性、遮音性、防炎性、UVカット機能、花粉吸着機能など千差万別。性能も意識して選びたい。
  4. 部屋の照明。ダウンライトやブラケットなどの照明は引き渡し段階で付いているのが一般的だと思うが、シーリング系の照明はつかないことが多い。エアコンと同じで現在の住居から持っていける分では足りないため、追加購入が基本となる。物にもよるが、1個あたり数千円~数万円の予算取りが必要となる。
    • シーリングライトも多機能なものがある。リモコン操作や調光・調色は当たり前として、自動調光機能や人感センサー、タイマー機能、スマホ操作機能だけでなく、部屋の真ん中にあることを活かしてスピーカー機能、プロジェクター機能、サーキュレーター機能などもある。デザインや光量だけでなく、機能面も意識しておきたい。
    • ただし、シーリングの耐荷重は一般的に5kgまでのものが多く、5kgを超える場合は引っ掛けシーリングなど耐荷重が高いものを使う必要がある。多機能シーリングを検討の場合は、重量を確認のうえシーリングの種類に注意をすること。
  5. 表札。アパートだと最近はつけない人が多いと思うが、戸建てはつけるのが一般的と思われる。ピンキリだが、数千円~数万円はするので、どういうものにしたいかはちゃんと下調べしておくこと。
  6. 光回線、テレビアンテナ、固定電話など、電気・水道・ガス以外のインフラの引き込み。光回線は2万~4万円程度、テレビアンテナは4万円前後、固定電話も4万円前後が相場らしい。
  7. 近所への引っ越しの挨拶用ギフトの費用。基本的には1000円程度が相場らしい。
  8. 不動産取得税。取得から数か月から1年程度で納税通知書が届く仕組みらしい。軽減措置によって額が減り、下手するとゼロになって支払い自体が発生しないケースもあるので要個別計算のこと。凄く雑に言うと、不動産価格の1%以下に着地する傾向と思われる。
  9. 追加で外構工事をする場合、花壇やカーポート、サイクルポート、宅配ボックスなどの予算も見ておくこと。また植栽費用も必要に応じて考えておくこと。平気で万単位、下手すると十万単位でお金が飛ぶので注意。
  10. 最後に、カーペットや収納、食器、家電など、上記に当てはまらない家財としてどういったものを追加購入するかも考慮する。なお、正直何を買うか読めない場合は、他予算を積み上げたうえで1割増しにしておけば割と何とかなるかもしれない。
  11. なお、逆にすまい給付金グリーン住宅ポイント制度などの対象となる住宅の場合は適切に申請することでプラスの給付を受けられるため、要確認のこと。

結局、雑に計算すると入居前後に100万円超はかかるだろう(雑)という予測がこういった計算から分かりました。これら出費を十分に賄ったうえで不測の事態でもある程度は耐えられるよう、キャッシュを計画しておきます。

※実際に読めなかった項目として、高所掃除用のモップ購入、万一のための消化器の購入、サーキュレーターの追加購入、キッチンの稼働棚の追加購入、洗面台の稼働棚の追加購入、床材の変更によるデスクチェアの新調、ロールスクリーンとハニカムシェードのオーダーメイド化による費用高騰、事後のパイロットスイッチの採用(プチリフォーム)などがありました。

 

内覧会という山場

さて、建物の引渡し前に、出来上がった建物を施主が確認する内覧会があります。内覧会は、きちんと仕様通りできているかどうか、また変な施工箇所がないかなどを施主自らしっかりチェックして、何かあれば指摘して引き渡しまでに修繕してもらう必要があります。

仕様通り(建具や収納や給換気口やコンセントや照明やネット回線なども含む)できているか、傷や汚れがないかどうか、建具や設備がしっかり動くかどうかは全体に通ずるチェックポイントですが、それ以外で個人的に意識したチェックポイントは以下の通りです。

  • 全体
    • しかるべきところは水平を取れているか?土間や玄関の上がり框、各居室、廊下、階段だけでなく、キッチン台やカップボードなども忘れずに。
    • 床鳴りは起きていないかどうか?特に内壁寄りの部分を要チェック。
    • 巾木がしっかり固定されているかどうか?床や内壁との間に隙間は無いか?
    • 給気口や換気口から空気がちゃんと流れているか?
    • 分電盤はしっかり動作するか?
    • サッシを違和感なく開閉できるか?
    • 窓の鍵を違和感なくかけられるかどうか?
    • ビスの締め忘れがないかどうか?
    • 隙間風を感じるようなことは無いか?
    • 網戸に穴やほつれはないか?
  • 階段
    • 蹴込み板にへこみや浮きなどはないか?
    • 手すりは違和感なく持てるか?
  • 天井裏/床下
    • 点検口を問題なく開け閉めできるか?
    • 点検口から見える範囲で、木部のひび割れや断熱材の欠損、水漏れ、カビの発生、ゴミの残存などはないか?
  • 外壁
    • ひび割れや変なズレ、傾きなどはないか?
    • 雨樋に破損や緩みはないか?
  • 外構
    • 敷地の境界が明確になっているか?
    • 基礎やモルタル仕上げ、コンクリート仕上げなどの箇所にひび割れがないか?
    • 郵便ポストがしっかり設置されているか?水平に設置されているか?
    • 屋外水栓がしっかり動くかどうか?

確認点は多いですが、場合によっては引き渡しまでの修正を依頼すればだいたい無償で直るわけで、しっかり見ておくべきです。

 

引き渡し後のタスク

引き渡し後に出費がかかるのとは別に、住む準備としてのタスクを明確にしておくことも大事です。住み始める前にやった方が良いことは事前に列挙しておかないとできないですし、住み始めのタイミングはタスクが膨大に発生するので段取りを組んでおくことが大事です。ネットで転がっている情報も参考にしつつ、自分専用のタスクリストを作っておきました。

なお私の場合は引っ越し先が徒歩圏内なので、引き渡し後ならできることは引っ越し前にどんどん進めてしまう段取りを組んでいます。また、自治体の変更手続きや保育園の転園手続きなどもなく、かなりシンプルな方だと思います。そのあたりはご留意ください。

 

  1. 引き渡しの1~3か月前
    1. 不要な家具を処分しておく。粗大ごみは頼んでから収集まで数週間かかりうるので注意。前もって日取りだけ決めて申し込み、あとから収集物を調整するのも有効。
    2. 引っ越し会社を相見積もりしたうえで内定しておく。(見積もりには訪問が必要なところがほとんど。だいたい30分~45分ぐらいかかるので、相見積もりには時間と体力が必要。他のタスクで忙しくなる前にやっておくと良いと感じた。)
  2. 引き渡し日が確定したら
    1. 引っ越し日を確定させる。
    2. インターネットなど回線の手続きをして、適宜工事を依頼する。(工事を伴う場合、時期によっては予約から1ヶ月ほどかかる可能性があるため、ガス水道電気などよりは早めに手配する。)
    3. 電気の手続きをする。新居の使用開始と旧居の使用停止をまとめて手続きできる。エコキュートなどがある場合は立ち合いが必要なので、2週間ほど余裕を見ておく。引き渡し日以降のなるべく早くに使用開始できる段取りを組む。
    4. ガスの手続きをする。新居の使用開始と旧居の使用停止をまとめて手続きできる。原則として立ち合いが必要なので注意。
    5. 水道の手続きをする。新居の使用開始と旧居の使用停止をまとめて手続きできる。立ち合いは不要。使用開始の2週間前ぐらいに手続する。
    6. 新居で使い始める大型家具などについては、引っ越し日以降を指定して新居宛てで購入し始めてよい。
    7. 賃貸の場合、引っ越し元の管理会社に退去日の連絡をし、退去確認立ち合い日の設定をする。
  3.  引き渡し最初期
    1. 新居各所を写真と動画で記録に残しておく。
    2. 超撥水コーティング剤で水回りのコーティングをしておく。シンクや洗面台など。
    3. キッチンのレンジフードにフィルターを付ける。
    4. マスキングテープで各種コーキング部分の汚れ対策をする。キッチンや洗面台、お風呂場、窓サッシなど。
    5. マスキングテープで壁の角を保護。子供がぶつかって壁紙クロスが破壊されないよう事前対策する。
    6. カビ対策で、お風呂場にて防カビくん煙剤をかける。(以後2か月ごとにかける)
    7. 便器と床の隙間をトイレのスキマフィルで埋める。
    8. カーテンなどを付けておく。
    9. Gとシロアリ対策で、屋外用ブラックキャップとアリの巣コロリをセットする。
  4. 引っ越し前
    1. 新規のエアコンについては、引っ越し前に設置できるなら設置しておく。なお、エアコンの排水ホースに防虫キャップを忘れず付けておく。
    2. 1週間前あたりに「引っ越し当日はお騒がせします…」という意も含めて近所の人に挨拶をする。足冊の品には外のしで「御挨拶」とする。
  5. 引っ越し時
    1. 冷蔵庫の下に、冷蔵庫マットを敷いておく。
  6. 引っ越し後
    1. 既存のエアコン(元々使っていたエアコンを持ってくる場合)については、引っ越し後に設置する。
    2. 住民票の住所変更(転居届)をする(引っ越し後14日以内なので注意)。
    3. 免許証やマイナンバーカード、パスポートなど住所併記の身分証明書を更新する。
    4. 勤め先や各種利用サービス(銀行口座やクレジットカード、楽天市場など)の住所を変更する。
    5. 郵便物転送の手続きをしておく。
  7. 引っ越し元の退去
    1. ブレーカーを下げる。
    2. 水道の元栓を締める。
    3. ガス栓を締める。
    4. 引っ越し元の退去確認立ち合いをする。

 

家庭によって違うからなんでしょうけど、時系列でやることを網羅的に書いている情報がイマイチ見つからず、断片的な情報を繋いでいって作った感じです。複雑…

 

まとめ

さて、新築戸建て購入の決め手は『育児と仕事を両立できる安定した生活』を求めての行動だったわけですが、それ以外にも様々な背景要因が転がっていたのは事実です。

  1. 住宅ローン控除が13年かつローン残高の1%と有利な条件となる『おそらく最後の年』だった。
    →なお2022年度からは結果的に残高の0.7%に変更されたとのことだが、他条件との兼ね合いで改悪のようで改悪と断ずることはできない微妙な着地になったので留意のこと。
  2. 上昇し続けるマンション相場に対して、戸建ての相場は横ばいが続いており、相対的にお買い得だった。
  3. ウッドショックで上昇した木材価格が建物価格に本格的に反映される前のタイミングだった。
  4. 育休からの復職後に1年以上フルに働いたことで直近の課税所得が復活しており、住宅ローン審査のうえでの不毛なリスクが無かった。
  5. ハードではあるものの、育児と仕事の両立がある程度安定してきており、土地探しや建物の設計にパワーをかける覚悟をギリギリ持てた。

戸建てに限らず家の購入は、とにかくタイミングなのだと強く感じました。ライフプランという人生の大きな流れを一番重視しつつ、少しだけ市況を見て調整するイメージでしょうか。中々に偶然の要素が大きくて、難しさを感じました。最初から戸建てのつもりであれば、勉強時間は1年とか2年とか取ってもよかったですね。これだけは切に思います。

とはいえまあ、こういった形で意思決定における思考を言語化すると、なかなか興味深いものです。我が家の意思決定が我が家の幸せな生活に繋がることを願って、ここで筆を置きたいと思います。

駄文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ブログ著者について
那須野 拓実(なすの たくみ)。たなぐら応援大使(福島県棚倉町)。トリプレッソを勝手に応援する人。ネイチャーフォト中心の多言語ブログを書いてます。本業はIT&マーケティング界隈でナレッジマネジメントとかデータ分析とかの何でも屋。半年間の育休明けで、家事育児と外働きのバランスを模索中。