この前の投稿では自分で考えたPhotography Value Frameworkを導入して、いろいろな写真の価値を同じ基準で表現できるように考えてみました。今回は、フレームワークの詳しい定義を明文化してみます。
Photography Value Frameworkは、Company、Customer、Competitorの3パートに分けて分析しますが、それぞれのパートはさらに2つの要素に分かれます。でもフレームワークの本題に入る前に考えるべき2つの前提条件について説明したいと思います。
1つ目の前提条件は、写真自身です。このフレームワークは、1枚の写真があって初めて議論が始まります。そしてもちろん、その1枚の写真は、フォトグラファーはできるだけ絵的に綺麗に撮る必要があるというのが基本になってくるかと思います。
2つ目の前提条件は、対象とする集団です。このフレームワークにおいて、写真はストーリーを語る必要がありますが、そのストーリーは誰かに大きなインパクトを与えなければいけません。意図的にインパクトを最大化するには、フォトグラファーは写真が対象とする集団を選ぶか、場合によってはイチから定義する必要があります。対象を定義するという行動は、このフレームワークの中で最もチャレンジングな部分かもしれません。
この2つの前提条件をふまえたうえで、フレームワークの3パートを見ていきたいと思います。
このフレームワークでは、Customerはフォトグラファーにとってコントロールできないパートではあるものの、前提条件を組み上げる時にぜひとも考慮したいものです。写真の価値を上げるには、多くの人が潜在的に写真に関れるよう、対象とする集団が大きくなければいけません。
そして、実際に興味を持って写真に関わってもらえるよう、その集団の人たちは集団への帰属意識を強く持っていなければいけません。より多くの人が写真に関われば、写真の価値は高まっていきます。
対象とする集団の人口が大きければ、集団の人たちの帰属意識は弱くなりがちです。フォトグラファーはバランスを考えて、写真を提示する先の人のことをしっかり考える必要があります。
このフレームワークでは、Companyはフォトグラファーがコントロールできるパートです。写真の価値は究極的には、写真が語るストーリーのインパクトで決まります。ストーリーは人を感動させなければいけないし、人を感動させるには、対象とする集団の人がストーリーに入り込めるよう、集団の歴史をふまえたストーリーであるべきです。
フォトグラファーは、写真の語るストーリーの基礎として腹落ちのする歴史を引用するか、もしくはオリジナルに定義する必要があります。ここはとても創造的なプロセスです。もしフォトグラファーが提示されてきた歴史を変革するに足るほどのストーリーを提示できれば、写真は新しく素晴らしい価値を提供したと言えるのでしょう。
なお、絵的に綺麗であることはもちろん必要ですが、一番重要な要素というわけではないです。というのも、ただ絵的に綺麗なだけの写真はネット上にわんさか転がっているからです。そんな綺麗なだけの写真が必要で、特にストーリーなんかは求めていない人にとっては、Google画像検索なんかで探せてしまえます。そこで見つかるものは無料の写真が多いですし、もし値段があっても非常に安いです。結局のところ、ストーリーを抜きにしてしまえば、みんなが必要とするのは”私”の写真である必要はないのです。
このフレームワークでは、Competitorは最終的に写真の価値を形作る要因です。写真とストーリーと歴史という作品は、みんなにずっと求め続けられるために、独自性のあるものでなければいけません。
写真の価値が継続するために、そしてあわよくば価値を高めるためには、作品は複製できないものであるべきです。たぶん、いろいろ方法はあると思います。極めて珍しい出来事の写真を撮るであったり、年老いて変わりゆく人間を作品に加えたり、時事的な出来事を混ぜたり、歴史を新しい方法で再解釈したり、新しい思考フレームの中で全く異なる人の集団をデザインしたり・・・
このパート、Competitorは、フォトグラフィーの非常に重要なエッセンスを気づかせてくれます。フォトグラファーは、写真の価値を高めるために他者の作品を考慮する必要があるのでしょうね。
なんというか、まぁ、今自分がこのフレームワークについて考えていることを、うまく明文化できているのでしょうか?