今年初の梅撮影にチャレンジしました!撮影場所は新宿中央公園、道沿いに梅の木が数本植えてあります。梅の花を綺麗に撮るのは難しいですが、悩んでもしょうがないので、5つのコツに整理してみました。順番に見ていきましょう。
梅の花はかなり小さいです。桜の花と同じくらい小さいです。でもフォトグラファーにとっての一番の違いは、枝に散り散りになっていることですね。桜のように密集しないだけあって、梅の木の全体を撮ろうとすると花の存在感がなくなっちゃいます。そこで一つの解決策が、近くに寄って写真に大きく写すことです。
今回は、梅の花とレンズの距離は10cmほどでした。私のマクロレンズでは、これがいっぱいいっぱいの距離ですね。
マクロ撮影が面白いのは、カメラの位置が少し変わるだけで背景が劇的に変わることだと思っています。見る人の感じ方を多分に決定するのが写真の背景なので、どの花を選ぶかと同じくらい、マクロ写真の背景を選ぶことが重要なんです。この意味では、よい撮影場所は点ではなく線といえるかもしれません。つまり、立ち位置、素敵な被写体、素敵な背景が一直線にならぶ奇跡、それがよい撮影場所ということなんじゃないか、と思うんです。
今回は、青空だけを背景におき、ひと足早い春の訪れから瑞々しさを感じられるようにしてみました。
梅の花の近くに寄っているので、2つほど問題が出てきます。1つの問題は、花の一部がぼやけるということ。1つの花の中でも被写体までの相対的距離が大きく変わってしまうからです。解決策はF値を大きくすること、できればレンズで最大のF値に設定して梅の花全体がくっきり写るようにしたいですね。
もう1つの問題は、写真に写る背景をどれくらいくっきりさせるかということ。F値を大きくするということは、背景もくっきり写るということ。場合によっては背景がくっきり写りすぎて、メインの被写体が何か、見る人が分からなくなるかもしれません。つまり、伝えたいことが伝わらないリスクがあるということです。花をくっきり写すこと、背景をぼやけさせること、この2つのバランスをとることが、F値を選ぶうえで一番重要です。
今回は、最終的にF/25を採用しました。このマクロレンズではほぼ最大です。最大のF/32を使わなかったのは、背景の枝の存在感が気になったからです。1600を超えるISO値が許せなかったというのもありますけどね。(4番目で説明)
F値を大きくしたときの最大の問題は、画質を落とさず十分な光を確保するためにシャッタースピードを遅くせざるをえず、三脚が必要になる点です。これが理想ですね。でも実際、日本の庭園だと三脚が使えないところが多く、使えても障害物や足場が悪くてかなり難しいことが多いです。とすると、じっと立ってカメラをしっかり構え、ISO値を高くし過ぎないようにするしかありません。木や壁に寄りかかったりできると、手ブレを最大限防げるのでいいですね。
今回は、寄りかかれるものがありませんでした。じっと立ってカメラをしっかり構えるのみ。なのでISO値を1600まで高くしました。画質を考えると、1600が許せる限界ですね。結果、シャッタースピードは1/60秒まで遅くなりました。最高の撮影場所というのは、上で書いた奇跡の一直線だけではなくて、手ブレを防いでくれる環境も条件に入るのですね。
梅の花を撮るコツの最後は、連射モードでたくさん撮るということです。動こうとしなくても、身体は絶え間なく微妙に動いています。この微妙な動きのせいで、せっかく梅の花にピントを合わせたのが台無しになってしまいます。また、シャッターボタンを押すときにカメラは必ず揺れます。この揺れのせいで、手ブレ写真ができあがってしまいます。
この2つの問題なんですが、マクロ撮影のときにとりわけ画質劣化につながります。なぜかというと、この影響、被写体とカメラの距離でほぼ決まってしまうからなんです。近ければ近いほど、画質劣化が起こりやすくなります。
でも連射モードを使えば、一度ボタンを押すだけで複数枚の写真が撮れるので、ボタンを押す影響を減らせます。複数枚撮るので、ピントが合っていない写真や手ブレしている写真もあれば、そうでない写真も出てくると思います。そこでその中から最高の1枚を選ぶわけです。デジカメの最大の利点ですね。
2枚目の写真、設定は1枚目とほぼ同じです。ここで言っておきたいのは背景ですね。都庁のベージュ色をおいて、中央の梅の花が目立つようにしました。背景が真っ白だと、花を見るのがかなり難しくなってしまっていたかと思いますね。マクロ撮影をするときは、たくさんの要素を考慮に入れる必要があって、それがフォトグラファー一人一人の差別化につながる点なんだと思います。面白いですね。
これらのコツは、他の撮影方法でも役に立つかと思います。私の思考方法を見て、なにかしらのインスピレーションが沸いたとしたら幸いです。