突然ですが、ムラキさんの利用する晩ご飯テイクアウトサービスが近所に欲しすぎて咽び泣いています。
記事にもまとめたので、もっと詳細知りたい方はよかったらどぞ〜(家事の外注化するときの、ご家族の説得用にもどうぞ笑)https://t.co/189yI6WnUn
— ムラキ / bosyu.me / Yasumo (@u_vf3) January 19, 2020
駅チカであろうと駅ナカであろうと、総菜屋さんとか弁当屋さんとかとはUXが違うのです。この微妙な差異を押さえたサービスが欲しいのです。なので、今回、私が思いつくこと全てを文章に書くことにしました。
蛇足ですが今日の日付、凄く綺麗でビックリしました。
最初に言います。これ、たぶん新しい言葉です。人によって言葉を聞いて思い当たるサービスが変わると思います。なので、ここでは敢えて類似するサービスとして弁当屋さん、総菜屋さん、テイクアウト可の飲食店、出前屋さん、惣菜宅配サービスと比較する形で『晩ご飯テイクアウトサービス』について定義してみたいと思います。
店舗にてお弁当を販売してくれる業態です。お弁当の種類は、もちろん季節限定のものもありますが、基本的には固定のメニューで提供されます。だいたいは既にパッキングされたお弁当として販売されており、お弁当の実物を見ながら選んで買います。場合によっては、ご飯だけは熱々のものを盛ってくれるものもありますが、おかずはパッキングされたものというのが殆どでしょう。単独の店舗として運営している場合もありますが、エキナカなどの商業施設の一部エリアに集まって出店しているのをよく見ます。
値段は数百円から数千円とピンキリですが、1個の弁当だけで1人の1食分になるというのが特徴です。なお、弁当屋さんと言いつつ惣菜(1人の1食分にはならない)を売っていることもありますが、それはご愛敬ということで。
店舗にて惣菜を販売してくれる業態です。毎日定番の惣菜が棚に並べられて、たまに期間限定や季節限定の惣菜も棚に並んでいるものから選んで買います。パッキングされて積み上がっている場合もあれば、クリアケースの中に大皿で盛ってある場合もあり、後者の場合は買うと伝えた時に店員さんが一定量を取り分けてパッキングしてくれることが多いですが、場所によっては客が自ら自分でパッキングすることもあります。
弁当屋さんと同じように、単独の店舗として運営している場合もあれば、エキナカなどの商業施設の一部エリアに集まって出店しているのもよく見ます。
値段は分量によって大きく変わってきますが、基本的には数百円から千円ちょっとです。あくまで主菜や副菜として売られているので、惣菜だけで1食分になるわけではないことがほとんどであり、ご飯やパンなどの主食、スープやみそ汁などの汁物を別途調達する必要があります。なお、惣菜の分量によっては、複数人分ということでシェアすることもできます。
店舗にて提供された食事を顧客が店舗内で食べることができる一方で、それとほぼ同等のメニューをテイクアウトできる業態です。お弁当単位での提供もあれば、惣菜単位での提供もあります。多くの場合はレジでメニューを見ながら店員さんにオーダーすると、店内飲食と同じ流れで調理してくれたものをパッキングして提供してくれる流れです。
値段は店内飲食の場合と同じですが、テイクアウトの場合は消費税が8%になります。税込みの金額が安くなることが殆どです。稀に、店内飲食だと税抜き金額が安く設定されて店内飲食でもテイクアウトでも税込みの金額が変わらない店舗があるようですが、ここで深くは突っ込みません。
顧客が電話やメール、ウェブサイトやアプリを通じてメニューを選んで発注した食べものを、家に宅配してくれる業態です。お弁当単位での提供もあれば、惣菜単位での提供もあります。多くの場合は発注があってから調理ないしパッキングを始めて、数十分ぐらいで宅配に移ります。店舗からの距離にもよりますが、だいたい60分前後で届くのが一般的な感覚かなと思います。
店内飲食ができる飲食店が兼ねている場合もありますが、出前専門店もあります。値段は宅配料金が上乗せされることが多いですが、一定金額以上の場合はタダになる仕様であることも多いです。
顧客が自ら店舗に出向く惣菜屋さんとは異なり、惣菜宅配サービスは家に惣菜を宅配してくれる業態です。ただし、その主たる形式は、複数食分の主菜と副菜を、冷凍して、週1回や月1回といった頻度で宅配してくれるサービスです。冷凍されたものを食べるときは、電子レンジで解凍するものもあれば、湯せんで解凍するもの、流水で解凍するものなどがあります。電子レンジだと数分と早く準備できますが、湯せんや流水の場合は10分前後、場合によっては数十分ほどかかるものもあります。
宅配の効率の観点から惣菜1個の販売はほとんど見られず、だいたいは5食分くらいからの提供となっています。重要なポイントとして、毎週宅配、毎月宅配のような定期購入プランもあれば、欲しいときに発注する個別購入プランもあります。個別購入プランとしては、お試しプランが用意されていることも多いです。また、もう1つ重要なポイントとして、メニューに関しては、いくつか選べるメニューから顧客が指定して発注する形式もあれば、業者にまるっとお任せするプランもあります。
値段は1食分の主菜と副菜あたり、800円~1500円あたりに収まることが多いです。
晩ご飯テイクアウトサービスという業態は、最終的に店舗で食べものを受けとる点は弁当屋さんや総菜屋さんと一緒ですが、そこに至るまでの過程に大きな違いがあります。まず事前予約からスタートします。
予約はだいたいはお昼前後までに、ウェブサイト上からであったりLINE経由で行います。予約のときは、1つないし少数の晩ご飯一式から選択し、何人分必要なのか、何時何分に受け取りをするのかを指定して予約をする流れです。予約の内容に従って、店舗は温かい晩ご飯一式を受け取り時間に合わせて人数分用意し、来店した顧客がそれを受け取って家に帰るという流れです。
特長として、
などが挙げられます。価格は1000円前後が相場だと思われます。
さて、言語化した各種業態を、私目線の3大ニーズに対して〇×で比較してみたいと思います。
①献立を 気にしなくてよい |
②店舗で 待たなくてよい |
③アツアツがすぐ 食べられる |
|
---|---|---|---|
弁当屋さん | × | 〇 | × |
惣菜屋さん | × | 〇 | × |
テイクアウト可の 飲食店 |
× | × | 〇 |
出前屋さん | × | 〇 | 〇 |
惣菜宅配サービス | × | 〇 | × |
晩ご飯テイクアウト サービス |
〇 | 〇 | 〇 |
晩ご飯テイクアウトサービスの素晴らしさ・・・、お分かりいただけたでしょうか。改めて並べてみると、②と③を満たしている業態は他にもあることに気付きます。つまり、
”晩ご飯テイクアウトサービスに感じる独自の売りは、子供とのシェアを前提として栄養価や食材を気にする子育て世代の『①献立を気にしなくてよい』ニーズへの解決策提示である”
のでは、というのが私の考えです。
実際のところ、振り返れば我が家でも出前屋さんは月に2~3回ぐらいの頻度で利用しています。それ以上の頻度にならないのは、連発すると同じような献立が並んでしまうという問題が発生するからです。逆に言うと、出前屋さんはこの点を踏まえたメニュー開発に取り組めば、子育て世代を大きく取り込めるポテンシャルがあると思います。
さて正直なところ、この表に対しては、人によっては費用とか手作りモチベーションとか好き嫌いとか、うちの近くの〇〇業態はそんなのじゃないみたいな話とかはあるとは思うのですが、私目線で夕食に求めるニーズを並べるとこんな感じなのです。子育て世帯だと同じ感覚でいる人はそれなりにいるだろうなという謎の自信はあります。
晩ご飯テイクアウトサービス、よい。。。
さて、そんな晩ご飯テイクアウトサービスですが、正直、全国的に普及しているとは到底言い難い状態です。おそらく、少子化が劇的に進むこの日本において逆に子育て世帯が増えているような子育て世帯に理解ある極少数のエリアで、社会課題に立ち向かう素敵な中小業者さんが営んでいるケースしかないのではないかな・・・と思っています。私も普段の生活導線上で少し調べてみましたが、なかなか見当たらないのが実情です。おそらく、全国展開する各種大手チェーンは参入していないと思われます。
とはいえこのまま何もせずにいると、いつまでたっても我が家が使える場所にはできてくれない気がするので、晩ご飯テイクアウトサービスが日本に普及するにはどういうビジネスシナリオがあるかをいくつか書いてみたいと思います。ものによっては既存の会社さんをバイネームで指定したりしていますが、そこはご愛敬ということで。
早速バイネームでの企業名登場です。株式会社ライドオンエクスプレスホールディングス(以下、ライドオンエクスプレスと略)とは、全国の主要都市にて宅配事業を展開する企業です。『銀のさら』や『釜寅』と言えば「知ってる!」となる人が多いかもしれません。そう、あれをやっている会社です。ついでに言うと、『ファインダイン』という宅配代行事業も既に展開しており、ポテンシャルがかなり高い企業です。
前項で述べたように、出前屋さんに足りないのは『①献立を気にしなくてよい』ニーズに対する対応です。出前屋さんが日替わり定食メニューを開発して提供すれば、実はあっさりとニーズに対応できる可能性があります。とくにライドオンエクスプレスの場合は発注用の会員制ウェブサイトやアプリを保有しており、日替わりのメニュー提示に不可欠なデジタル要素は既にあるのがポイントです。
論点としては、固定メニュー化することで調達コストを低減させつつもなお比較的高価格帯(1300円~2500円)である現状から、日替わりメニューでどこまでリーズナブルな価格を打ち出せるかがポイントです。低価格な季節食材を中心にフットワーク軽く調達して、調達状況に応じて配達エリアごとにメニューを変えるなどすることで、全体コストを戦術的に抑えるのが一策です。コンテンツ運用的なWeb担当者が必要になるだけでなく、バイヤーに求められるスキルも変わってくるので、人員体制にも見直しは必要と思われます。
導線的にも、頼んでから60分前後で届くUXが基本のところ、日中に頼んで夕方に届くUXを両立させるにはどうしたらよいかも考える必要がありますが、思い切って専用アプリを開発してエリアに合った日替わりコンテンツを表示して、なければウェブサイトの通常メニューへのリンクを用意するぐらいのミニマルな感じがよいかもしれません。そんなことされたら毎日アプリを開いちゃいます。
あっ、もしかしたら、宅配代行事業で連携する飲食店から毎日ピックアップする形でのメニュー選定も機能するかもしれません。ご検討ください。(誰に言っている)
またまた企業名が出てきました。株式会社OKANは、B2B、B2Cの両方で展開している食・健康分野のスタートアップ企業です。「働く人のライフスタイルを豊かにする。」というミッションのもと、B2Bではぷち社食サービス『オフィスおかん』を、B2Cでは宅配惣菜サービスとして『おかん』を提供しています。
そんなOKANの強みは、健康的な惣菜作りを既に心掛けていることだけでなく、すでにオフィスおかんを通じて全国の企業に定期的に惣菜を届けるネットワークとナレッジを有していること。現在オフィスおかんが企業に届けているのはあくまで惣菜ですが、ヘルシーでアツアツのお弁当を企業に届けるのもアリなのではないでしょうか。そう、テイクアウトサービスのボトルネックにあるのは実店舗を中心としているがゆえに大規模展開に制限があること。そのため、既に存在している企業をハブとしたセントラルキッチン方式は一考の余地があるかと思うのです。
ただこの策は、冷蔵ないし冷凍に特化したOKANは温かい食べ物を作れるのかという点に始まり、温かい食べ物をどう運ぶかとか、どう手渡すかとか、あとは手渡してもらった後で家に帰る途中で冷えてしまうのではないかとか、そういう問題をクリアにせねばなりません。意外と壁は大きそうですが、B2Bとしての導入を進められるのは企業の福利厚生として大規模に広められることを意味しており、チャレンジするに見合うリターンはあるのかなと感じます。
また、今回OKANを取り上げたのは、OKANが実店舗を持ってテイクアウトに参入する別シナリオを思いついたからという理由もあります。というのも、OKANの作る惣菜は確かにヘルシーであるが解凍するのが面倒だという子育て層に対して、解凍してご飯を盛って手渡す実店舗サービスがありではないかと感じたのです。冷凍庫ないし冷蔵庫でOKANの料理を保存しておき、客が来るタイミングに合わせて解凍をして、来たらご飯を盛って手渡しをする、それだけで凄く助かります。多少コストが乗っかってもありなのではと思います。エキナカで、通路沿いに奥行きの小さな総菜屋さんはよくあるじゃないですか、ああいうので全然よいのです。
以上、株式会社OKANへの2案をご検討ください。(誰に言っている)
またまた企業名です。みなさん、オオゼキはご存知でしょうか?都内駅チカを中心に展開するスーパーマーケットです。比較的小さな駅を中心に展開しているので知る人ぞ知るスーパーとも言えますが、品揃えの圧倒的な良さと、魚や肉などの生鮮食品の鮮度の高さに熱烈なファンが存在しています。非公式イベントが開かれ、非公式noteオオゼキ部が存在するぐらいには熱烈です。
オオゼキの強みは圧倒的な目利き力と購買ネットワークを持つバイヤーさんたちによる全国の良品調達にあるわけですが、それはもちろん手料理しなければ恩恵に預かるのは難しいです。そこで、新鮮な食材を使った日替わり弁当でテイクアウトサービスに乗り出せば、駅チカであることも相乗効果になって地域の子育て家庭を強力に支える店舗になれると思うのです。
オオゼキ自体は多数の店舗で惣菜を店内調理しており、店舗によっては本格的に寿司やパンを製造・販売しています。そのため、キッチンを含めた立地環境は比較的整っているのです。つまり、物理的には日替わり弁当というジャンルを始めようと思えば始められる環境にあるのです。消費期限リスクが気になる小売店において、売れ残りリスクがとりわけ気になる店内惣菜と比較すると、予約を取る日替わり弁当はリスクが少なめです。取り組む価値は大いにあるでしょう。
問題としては、リアルでのチャネルに特化しているオオゼキにとって、予約を含めたUXを実現するウェブサイトやアプリの開発や運用のためのあらゆるリソースが足りていないことが挙げられます。41店舗での運用を踏まえても、初期投資が回収できるかどうかも気になってきます。
ただ、晩ご飯テイクアウトサービスに参入した暁には子育て世帯の間のクチコミで爆発的に広がって、今とは違った顧客層がオオゼキになだれ込み、そこでオオゼキの生鮮食品の魅力に気付いて「週末くらいは料理するか、もちろんオオゼキの食材で」となる展開が望めるため、本業との相乗効果が高いと期待されます。
お客様に誠心誠意尽くそうと思った。一人でも多くのお客様に来てもらいたい。そのためにお客様が喜ぶ、あらゆるサービスを考えた。お客様が望むことなら、何でも聞いちゃう。それがオオゼキの一番大切な心だよ。オオゼキの心って、そこから生まれた。」
と掲げられたオオゼキspiritが、晩ご飯テイクアウトサービスに乗り出す日は来るのでしょうか。それではご検討ください。(誰に言っている)
この項目、実は最初は『和食チェーン飲食店の日替わりテイクアウト参入』と書いていたのですが、必要なことはこれじゃないと思って途中で『クラウドサービスによる小規模飲食店支援』に書き替えました。
全国に散在する和食系の飲食店、とくにチェーン展開している飲食店が日替わりのテイクアウトサービスを始める展開はアリだと思っています。飲食店で提供するヘルシーかつ薄味な和食プレートを、予約テイクアウトの形で提供できれば、十分にUXを実現することができます。
私の思いつくところで言えば、日本レストランシステム株式会社の運営する『安心・安全・健康 さんるーむ』や、株式会社ビー・ワイ・オーの運営する『おぼんdeごはん』が近いと感じるのですが、なにぶん店舗数がそこまで多くないので予約システムの導入や運用には人的にも費用的にも耐えられない可能性が高い点、また、既存店舗が店内飲食に最適化されていてテイクアウトの本格参入には物理的な障壁が出てくるであろう点が気になったのです。
そう、この和食チェーンの展開を書いている中で気付いたのですが、おそらく晩ご飯テイクアウトサービス参入のボトルネックは特有のUXを実現する予約システムの開発と運用にあると感じています。逆に、そこがクリアできるクラウドサービスを新たに作り、それを利用することで全国の小規模飲食店がこぞってテイクアウトサービスに参入できたら幸せでは・・・などという考えに至りました。D2C支援の発想です。
クラウドサービスのベンダーは無数に存在するのでどこが一番可能性高いかなー・・・なんて考えていたら、Airレジ(エアレジ)を展開する株式会社リクルートライフスタイルが相乗効果の高さで分があるのではという考えに至ったのですが、エアレジのオプションとして提供されてもUXの最適化が実現できるかというと歪みが発生して難しそうな気がしたので、やはり真っ新にUX最適化に突っ走ってくれる企業に名乗りを上げてほしいというのが個人的な感想でした。
早い者勝ちです。ご検討ください。(誰に言っている)
以上、夢の『晩ご飯テイクアウトサービス』を日本に普及させるための考察と4つのプランを勝手に書いてみました。思ったよりもバイネームで企業名を書けたので、個人的には面白かったです。だらだらと思考の流れを書いただけなので、もっと整理された文章を読みたかった方、申し訳ないです。そういう文章だと思ってください。
最後に、
(みなさま、ほしければ声を上げるのです……片っ端から該当しそうな業者に電話し……片っ端からほしいと投書するのです……力こそパワー、パワーで世の理不尽を片っ端から張り倒すのです……)
— ムラキ / bosyu.me / Yasumo (@u_vf3) January 19, 2020
と書いているムラキさんには自分で動けと怒られそうですが、ちょっと今は…書くだけで…精一杯です。。
すみませんでした。