このページを開いてくださった方は、なにかしら那須野拓実という人間に興味を持っていただいたのだと思うので、写真をお見せする前に、私のフォトグラフィーに対する考え方を紹介したいと思います。
地域おこしを掲げ、日本の自然風景を撮りながら、フォトグラフィーの価値をマーケティング視点で考える私にとって、ポートフォリオとして並べる写真はどうあるべきか。思うところを書き連ねてみます。
まず、その写真は、綺麗だけどもどこだか分からないようなものであってはいけないです。マクロで花をアップで撮れば綺麗かもしれないが、そういった写真は人を動かさない。人を動かさない写真は、マーケティング的には価値が無いと思います。
人を動かすには、絵として人を引きつけるレベルに達するのはもちろん必須ですが、その場所であることが明確に伝わるような写真であるべきです。言い換えると、メインの被写体の周辺空間を織り込むような表現を心がけるべきです。
ゆえに、ポートフォリオとして写真を選定していくと、50mm、70mm、85mmクラスならギリギリ入ってきますが、200mmクラスを表現に組み込むには・・・まだ自分には修行が足りないようです。結果的に広角寄りの表現が主体になってきました。
次に、その写真を載せるということは、その写真を見た人が、その場所に行きたくなるだけでなく、実際に行ったら満足するであろう場所にするべきです。これは自由意思にともなう覚悟と責任の問題として大切にしたい点です。
正直、ある程度の撮影スキル、現像スキルを持ち合わせていれば、どんな場所でもそれなりの写真が撮れてしまいます。その場所を、訪れたことが無い人に対して、魅力的に見せることができてしまいます。そして、果たしてそういった行動が望ましいかというと、そうとは思えない自分がいるのです。
今のご時世、ブログやSNSを通じて世界に向かって発信することは、誰でも自由に行えます。誰でも自由に行えるからこそ、自分の意志で発信することで人を動かすのなら、その帰結に対して一定の責任を負うべきです。平易に言い換えると、人を動かすのなら、その人をちゃんと幸せな方向に導くべきで、不幸せな方向に倒れるような動かし方はしてはいけないと思うのです。
だから、『自分の発信が人を幸せにできるものである』ことに対して責任を負うべきであり、そういったものにするという覚悟が必要だと思うのです。その意味では、その場所を訪れる、その場所に関わるという体験をデザインし、人を幸せにする体験であるかの判断が、必須なのではないかと思います。
そんなことを考えながら、日本の四季ごとに選んだ写真です。ぜひ、ご覧ください。