ひとつの行動の中に「これだ!」と言えるような意義を見出だすのは、いつも大変です。その割に、もし意義を見出だしたら、責任と覚悟が付いて回るという・・・生きるって大変です。
※スクリーンショットはNHK公式ウェブサイトより引用.
NHK主催の第6回福島の桜フォトコンテストに挑戦することに決めました。フォトコンテストに出すのはこれが3回目。棚倉町のを除くとこれが初めてです。
普段フォトコンテストに参加しないのは、自分のフォトグラフィーが単にそちらの方向を向いていないからです。アートとしてのフォトグラフィーは、独自のストーリーと一緒にあるべきですし、フォトグラファーは自身のフォトグラフィーとともに独自のストーリーを表現するべきです。なので、私がフォトコンテストに参加するのは、そのフォトコンテストに挑戦することに「これだ!」と言えるような意義を見出だせたときに限っています。
今年の4月、棚倉町を訪問し、この写真を撮りました。
闇夜にたなびく枝垂の姿が、不意に浮き上がった瞬間でした。
花園のしだれ桜はふだん、ライトアップはしていません。ただ、まわりに明かりが少なく、被写体を邪魔する障害物も少ないことから、ライトアップのポテンシャルが非常に大きいと思います。偶然に撮れた1枚ですが、この1枚が、あなたが棚倉町を訪れるきっかけになることを願ってやみません。(2017年4月15日の投稿より引用)
花園のしだれ桜は、水に映る逆さ桜として有名です。そしてしだれ桜と池を一緒に撮影しようとすると、春の朝方はとてもいい位置に太陽が昇るのです。なので、このしだれ桜の写真のほとんどは池と一緒に撮影されていますし、多くは夜明けや朝日のときに撮影されています。
でも悲しい事に、このステレオタイプが原因で、花園のしだれ桜の大きな可能性が制限されているような気がするのです。というのも、このしだれ桜独特の特長は、逆さ桜では無いと思うからです。
私が独特の特長だと考えているのは、以下の3点。
花園のしだれ桜は樹齢100年を超えると言われています。福島県にはそのクラスの老木は多数あれど、上記のような特長を持った老木はここだけなのではと思っています。おかげで、撮影で取りうるロケーションやポジション、アングルの幅が非常に広いのがこのしだれ桜なんです。
しかしながら、覚えておかないといけないのは、これら独特の特長を持ち得ているのは、このしだれ桜が三春の桜のように人気があるわけではないからです。花園のしだれ桜が三春のように有名になって人気になってしまえば、柵は設けられるわ、支柱は打たれるわ、その他目障りな飾りものが付くわで良いことがまるでありません。そしてそのもとに大勢の人々が・・・考えたくないですね。
一介の風景写真家として、そしてこの町の地域おこしに少しばかり関わるものとして、そういう結末は望んでいません。とはいえ、棚倉町は自分たちのためにこの木をもっとよく活用する方法があると思います。もし私がコンテストに入賞したときには、花園のしだれ桜を棚倉町が今後どう扱うか議論する転機になってほしいですね。