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地域おこし
2017/03/04

kura-cafe閉店と棚倉町観光フォトコンテスト落選で気付いた、自分が地域おこしに期待していたこと

懐かしの写真です。実は、今までお世話になってきたkura-cafeが2017年3月11日を以て閉店します。新規起業の3分の2が3年以内に倒産することを考えると、3年半続いたというのは店長並びに従業員の方々の努力と、地域の人たちに愛されていたからこその結果だと思います。本当にお疲れ様でした。

 

かくいう私も、偶然kura-cafeに出会ったからこそ棚倉町を知り、町民の方々との縁ができ、たなぐら応援大使として活動をするなかで、棚倉町という舞台を通して”地域おこしとは何か”を具体的に考える機会をいただきました。

 

結局のところ、地域おこしとは企業経営と同じくらい抽象的なものです。

企業経営という言葉が『企業を存続させるために必要なあらゆる行動』と定義されるとしたら、地域おこしの本質は『その地域を存続させるために必要なあらゆる行動』であり、非常に目的志向的なものとして定義されるべきものです。

地域おこしといっても、実際の業務の中身はバラバラ。情報発信、観光振興、新商品開発、六次産業化、事業承継、空き家活用、コミュニティ維持、移住促進、インバウンド、などなど。キーワードを上げ始めたらキリがなく、課題認識のあり方によってありとあらゆる業務が生まれます。

一方で、具体的な課題たちのひとつうえ、地域おこしの目標については、なかなか議論がされずに不明確なままになりがちで、いったい今の行動は何のためにやっているんだろうかと、不安にさいなまれることもあるのだと思います。この地域は、この町は、何を目指していくのか。そういった目標が大切ではあるものの、ひとつの地域にはさまざまな利害関係を持つありとあらゆる人が関わっているわけで、八方美人に目標を考えたら抽象的な絵空事になってしまうわけで、その難易度といったらゴリゴリに政治で凝り固まった日本の大手企業並みなのだろうなと、勝手に想像してしまいます。

かくいう私も棚倉町の写真を撮り続けて約2年。自身の写真を通じた情報発信に、どれだけの効果があるのだろうか、誰かの役に立てているのだろうかという、漠然とした不安の中で活動を続けていました。

 

だからこそ、今年早々にkura-cafe閉店の連絡を受けたとき、2016年の棚倉町観光フォトコンテストで落選した事実を知ったとき、あれだけ頑張ったのにと自分の中で負の感情が生まれかねないとも危惧したのに、なぜか自分の心の中に感謝だけが残っていたことに気づき、自分が地域おこしに期待していたものが明るくふわっと具体的になった気がしたんです。

 

kura-cafeも、棚倉町も、今まで自分がとりえなかった選択をする機会を与えてくれたわけで、それが自分にとっては最高の出来事だったわけです。つまるところ、自分が地域おこしに期待していたものは、自分で選ぶ幸せを探究することだったんだと思います。

私はおそらく、能動的に考えて選ぶプロセスが幸福に繋がると考える人間なのでしょう。だから、生まれ育った鶴見区、仕事に便利だからと住んだ大田区は、両方ともそれなりに発展していてそれなりにいい暮らしができる都市ですが、自分で選ばずに住んでいたことに対する不幸せがあったんです。そして、その中で、自分が幸せを形作るべき場所はどこなのだろうかとゼロベースで考える行動が、地域おこしへの関わり、つまりまだ見ぬ場所の探求につながっていたのだと思います。

 

そんな自分が地域おこしを目標として定義するならば、それは、自分で考えて選ぶライフスタイルでの幸せを実現させる舞台作りであり、それを受容してくれるような環境作りであってほしいと思います。都心郊外一戸建てマイカー付きとか、タワマン外車に年収ウン千万とか、のんびり田舎のカントリーライフみたいなステレオタイプの憧れではなくて、個人の意思と幸福感に根ざしたライフスタイルを、ひとりひとりが自信を持って実現に持っていけるような場所ができたら素晴らしいなって思います。

その意味で言うと、東京一極集中のアンチテーゼとして語られることの多い地方創生は、私にとって真に多様な幸福観の許容と実現というプロセスなのであり、人口の地理的再分配はただの結果論なのだな、とも思います。

 

何を選んでいくかは今もなお白紙ですが、ともに幸せを実現していく家族と一緒に考えて決めるプロセス自体が家族の幸せに直結するのだろうという自分流の幸福観を書き残してこの文章を終えたいと思います。

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ブログ著者について
那須野 拓実(なすの たくみ)。たなぐら応援大使(福島県棚倉町)。トリプレッソを勝手に応援する人。ネイチャーフォト中心の多言語ブログを書いてます。本業はIT&マーケティング界隈でナレッジマネジメントとかデータ分析とかの何でも屋。半年間の育休明けで、家事育児と外働きのバランスを模索中。