そろそろ今年の秋が終わり、冬に入ってきました。そうですね。秋と言えば紅葉です。色鮮やかな情景を求めて、今年も色々な場所で紅葉を撮っていました。
私が応援大使をしている福島県棚倉町もその1つです。棚倉町は、良くも悪くも普通の田舎町。町全体に手つかずの自然、というわけでもないし、農道以外の道路はコンクリートで舗装されているし、家電量販店も本屋も、多数のコンビニもあります。
一方、町の中を歩いていると、至る所にハッとさせるような自然風景が転がっています。東京に比べれば、その割合は段違いに高い。観光的には棚倉城跡、山本不動尊がツートップに上がってきますが、日常的な風景の美しさがよいですね。
いわゆるド田舎ではないけれど自然はそれなりに残っているという、日本の中では極めて平均的な田舎町だと思うわけで、日本全国、津々浦々にある田舎町を巡っていくと、こういう田舎町が多いのではないかと思うわけで、こういう田舎町が元気になっていくことが、日本全体を元気にすることなのかなぁと漠然と思っている今日この頃です。
さてさて、そんな棚倉町に対して私が出来ることと言ったら、やはり写真を使ったことになるわけで、ここで共有した写真を通じて一人でも多くの人が具体的な行動を起こしてもらえたら幸いだと思うわけです。写真は、棚倉町で撮影した秋の写真で、去年のも交えての紹介です。まず、棚倉町の秋は田んぼから。
ずっと広がる田んぼ、黄金色に輝く稲穂。秋晴れの空を合わせたら文句無しです。
山本不動尊の秋は、紅葉のインパクトが素晴らしい。今年撮れて良かったです。
こんな感じで境内を続きます。
山本不動尊の赤い橋は、どの季節も相変わらずの美しさ。
赤い橋を越え、急峻な階段を登ると、奥の院があります。夜、真っ暗な中でも光り輝くこの院は、星空の下では幻想的な光景を見せてくれます。山寺にわざわざ深夜来る人は少ないから、この景色もなかなか見る人は少ないんだろうなぁ。
ちなみにやはり、棚倉町は朝霧の町。山本不動尊でも、しっかり霧がかった紅葉が楽しめます。
棚倉町ではちょくちょく見られる雲海。これは山本不動尊から。なお、町全体に雲海がかかるのが見えるのはもっとレア。赤舘公園からならチャンスがあります。そちらは私もまだ直に見たことは無いんですよね。
山本不動尊の入口と言えば、このケヤキ。縦に成長することが一般的なケヤキがここまで幅広にたたずむ場所は、非常に珍しいと思います。さらに逆さケヤキとして見られたのは・・・本当、天候のおかげですね。
山本不動尊も紅葉が綺麗ですが、棚倉町の紅葉と言えばやっぱり棚倉城跡。城自体はもう残っていないものの、お堀を囲うかのように植えてある桜やカエデは見事です。
水があったら反射を撮りたくなってしまいます。この手の写真は、水鏡の上の実像がすっと融ける境界線がいかに滑らかかに見えるかに、こだわっていきたいですね。
お堀の紅葉はずっと続きます。色はいっぱい。
少し日が沈んでくると、オレンジ色の陽射しが照って、すごくほんわかするような空気感に包まれます。
お堀の中は、紅葉のお散歩コース。
枯れきっていない季節外れのアジサイが見える場所は、もはや何がなんだか分からないぐらい、数々の色が競演しています。
お堀の内側にたたずむ紅葉に近づいてアップで撮ると・・・、おぉ、ものすごいインパクトです。青空を背景に、すごく映えています。
100年クラスの老木の桜が多い棚倉町ですが、カエデも大層立派にそびえ立っている印象でした。
さて、町の北の方、高台の赤舘公園にやってくると、
すぐ目の前の紅葉だけでなく、眼下に広がる棚倉町がほんのり赤く色づく様子も見ることが出来ました。赤舘公園からの風景は季節ごとに収めていますが、これで紅葉編もバッチリですね。
さて、ここまでたくさんの写真を紹介してきましたが、最後に山本不動尊と近津をつなぐ道路途中で撮った不思議な風景をシェアしたいです。
朝霧が杉を越えた向こうに取り残され、その後ろから強烈な太陽の光が照っています。杉の間を抜けて光芒が発生し、赤く大きく広がるカエデに降り注ぎ、目の前が光に包まれたような感覚でした。すぐ横には小川が流れているけれども、強烈な光の中で音もなく、まるで時間が止まったかのような風景でした。
棚倉町を朝霧の町と称して暫く経ちますが、気象条件によって自然風景がここまで化ける町はなかなか珍しいと思います。棚倉町を撮影し始めてから1年と8ヶ月。ようやく一つの町を撮り続ける意味が見えてきました。
ある場所の最高の一枚を撮ろうと思ったら、その場所が最高に輝く季節と天候、時間帯を考える必要があります。それを偶然ではなく計算でやりきろうとしたら、目の前の風景がどう変化していくかを明確に想像し、最高のタイミングを見い出すスキルが必要です。
それに加えて・・・その場に居合わせる強運と根気ももちろん必要です。
町外に住んでいる人間にとって、棚倉町の冬の風景は最もハードルが高いです。シーズンの中でも、そもそも雪が積もる日が限られ、だいたい東京と同じか少し多いくらいです。積もってもすぐに融けてしまいます。ということは、天気予報を見ながらピンポイントで突如として旅程を立てる必要があるわけです。
去年はなかなか思うような写真が撮れなかったですが、今冬は毎日天気予報をチェックして、チャンスがありそうな時は、なんとか棚倉町を訪問したいと思います。